コレステロールを効率的に下げる方法3選【薬を飲み続けるとどうなる?】

コレステロールを効率的に下げる方法3選【薬を飲み続けるとどうなる?】
  • コレステロール値がどのくらいになったら薬を飲むの?
  • コレステロールの薬を飲み続けるとどうなるの?
  • 薬を飲まずにコレステロールを下げる方法を知りたい

健康診断の結果「コレステロールの値が高い」と言われたとき「薬を飲んだほうがいいのか?」と悩みます。しかし、基準の値は複数あったり医師によっても薬の考え方が違うため、何が良いのか迷う人も多いです。

この記事では、コレステロールの薬に関わる情報を紹介します。記事を読めば、コレステロールの薬の心配ごとが解決します

コレステロールを下げるには、食生活の改善や運動習慣を身につけることが大切です。生活習慣を改善しても下がらなかった人は、薬の利用も検討しましょう

コレステロールを効率的に下げる方法3選

コレステロールを効率的に下げる方法3選

コレステロールを効率的に下げる方法を紹介します。食事や運動など生活習慣の改善から始めてみましょう。生活習慣を改善しても目標の値まで下がらなかった場合に、薬の利用も検討しましょう。

  • 食生活を改善する
  • 運動習慣を身につける
  • 薬を服用する

食生活を改善する

コレステロールを効率的に下げたい人は、食生活を改善しましょう。コレステロールは摂った食事からも作られるからです。食事の量より質が大切。以下の食品の摂り方を見直してみましょう。

飽和脂肪酸を減らす
飽和脂肪酸を減らしましょう。飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増やす原因だからです。肉やバター、乳製品などの動物性脂肪に多く含まれています
» 農林水産省(外部サイト)
アイスクリームに含まれる乳脂肪や、お酒のおつまみにする肉の加工品の脂も飽和脂肪酸が多い食品です。気づかず食べていることが多いので注意が必要です。
食物繊維を摂る
食物繊維を摂りましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きが期待できるからです。野菜やきのこ、海藻などの植物性の食品に多く含まれています
» e-ヘルスネット(外部サイト)
n-3系脂肪酸(DHA、EPAなど)を摂る
n-3系脂肪酸(DHA、EPAなど)を摂りましょう。n-3系脂肪酸(DHA、EPAなど)はコレステロールを抑える働きが期待できるからです。青背の魚(マグロ、サバ、イワシなど)の脂肪に多く含まれています
» e-ヘルスネット(外部サイト)
アルコールを減らす
アルコールを減らしましょう。アルコールを摂ると、高カロリーの脂っこいおつまみを一緒に食べてしまう傾向があるからです。高カロリーの脂っこいおつまみは、中性脂肪が増える原因です。中性脂肪が増えると、LDLコレステロールを回収するHDLコレステロールが減ります。今飲んでいる量や回数を少し減らすだけでも、下がりやすいので試してみましょう
» 全国健康保険協会(外部サイト)

» コレステロールが高いといわれたら 忍野村(外部サイト)

運動習慣を身につける

コレステロールを効率的に下げたい人は、運動習慣を身につけましょう。運動をすると、体の細胞にたまったLDLコレステロールを回収するHDLコレステロールが増えるからです。体重が減ると内臓脂肪も減りやすくなるため、中性脂肪を減らす効果も期待できます。

効果的な運動は以下の2つです。

10分多く体を動かす
10分多く体を動かす運動から始めてみましょう。10分多く体を動かすだけでも、体に良いと報告されているからです。体にかかる負担が少ないので、運動をまったくしなかった人におすすめです。風呂掃除やテレビを見ながらのストレッチなどでもOK。
» 全国健康保険協会(外部サイト)
10分ウォーキング
ウォーキングを始めてみましょう。ウォーキングをすると、内臓脂肪が減りやすいからです。1日10分を1年続けると、体重1.0~2.0kg減の効果が期待できるとの報告もあります。買い物や犬の散歩でもOKです。
» 厚生労働省(外部サイト)

運動を始めたいときは必ずかかりつけ医に相談しましょう。体に必要以上の負担のかかる運動をすると、健康に悪影響を与えるからです。無理なく続けられる運動を選びましょう。

薬を服用する

コレステロールを効率的に下げたい人は、薬の服用も検討しましょう。食事や運動を見直しても変化がなかった場合、薬だと下がりやすいからです。

「どのくらいコレステロール値を下げれば薬を飲まなくていいか?」「自分に合ったコレステロールを下げる方法は何か?」薬を服用する前にかかりつけ医に相談してみましょう。

コレステロールを下げる薬の種類

コレステロールを下げる薬の種類

コレステロールを下げる薬は以下の種類があります。

  • スタチン
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
  • 陰イオン交換樹脂
  • ニコチン酸誘導体
  • フィブラート
  • オメガ-3脂肪酸製剤

スタチン

スタチンは、コレステロールを下げる薬の一つです。コレステロール値が高い方によく使われます。体内では主に肝臓においてコレステロールが合成されるため、合成を抑える薬です。コレステロールの合成を抑え、血液中のLDLコレステロールを減らす働きが期待できます。

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬は、コレステロールを下げる薬の一つです。コレステロールは体内で作られますが、摂った食事からも吸収されて作られます。食事からのコレステロールの吸収を小腸で防ぎ、血液中のLDLコレステロールを抑える働きが期待できる薬です。

陰イオン交換樹脂

陰イオン交換樹脂は、コレステロールを下げる薬の一つです。コレステロールは胆汁酸に変えられて消化管に排泄され、再吸収されます。胆汁液とくっつくことで再吸収を抑え、肝臓や血液中のLDLコレステロールを抑える働きが期待できる薬です。

ニコチン酸誘導体

ニコチン酸誘導体は、コレステロールを下げる薬の一つです。脂質の代謝をよくする働きがあります。脂肪組織から中性脂肪の元になる物質を作らないように、血液中の中性脂肪を抑える働きが期待できる薬です。

フィブラート

フィブラートは、コレステロールを下げる薬の一つです。血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を抑え、HDLコレステロールを増やす働きがあります。肝臓でLDLコレステロールや中性脂肪が作られるのを抑える働きが期待できる薬です。

オメガ-3脂肪酸製剤

オメガ-3脂肪酸製剤は、コレステロールを下げる薬の一つです。オメガ-3系脂肪酸のDHAとEPAは、イワシ、サバなどの青背の魚の脂に多く含まれる成分。不飽和脂肪酸です。肝臓ではコレステロールや中性脂肪などの脂質が作られています。中性脂肪を抑える働きと血小板の凝集を抑え、血管の中で血栓ができるのを防ぐと期待されている薬です。DHAとEPAは血液サラサラにする成分ともいわれています。
» 天王寺だい脳神経外科(外部サイト)

コレステロールを下げる薬のよくある質問

コレステロールの薬のよくある質問にお答えします。コレステロールの薬が気になる人は参考にしてください。
» 知って得する情報!福知山市(外部サイト)

コレステロールを下げる薬は飲まないとだめ?症状がないなら大丈夫?

コレステロールの薬を飲まないとだめかは、かかりつけ医に相談してみましょう。コレステロールの値だけでは判断できないからです。

コレステロールが高い人は、生活習慣の見直しから始めましょう。生活習慣を変えてコレステロールの値が下がった人は、薬の必要はないからです。少ししか下がらなかった人でも、生活習慣の改善と並行することで薬の量が少なくてすむ場合があります。

コレステロール値がどのくらいになったら薬を飲むの?

LDLコレステロールが140mg/dl以上の人は、かかりつけ医に相談してみましょう。140mg/dlという数値は、脂質の代謝の健康リスクが増えるとされる境界線の数値(目安)だからです。何もせずそのままにすると、健康リスクが進みやすくなります。

LDLコレステロールが140mg/dl以上ですぐに薬を飲むとは限りません。人それぞれ健康リスクに影響する背景は異なるからです。食事や運動で経過をみる場合もあります。

LDLコレステロール120~139mg/dLの人は境界域です。血圧や血糖など他の値も高い場合は、かかりつけ医に相談するのをおすすめします。LDLコレステロールが140mg/dl以上でなくても複数の要因が重なると、健康リスクを招く場合があるからです。

コレステロールの薬を飲み続けたらどうなる?

コレステロールの薬を飲み続けると食事の管理が少し緩くなるため、好きなものが食べられるようになります。コレステロール値が下がるため、健康リスクになる可能性が低くなるからです。

薬を飲み続けているのに、体調がすぐれない場合はすぐにかかりつけ医に相談しましょう。薬が体質と合わない人もいるからです。定期的に診てもらうのが大切です。

コレステロールを下げる薬はいつまで飲むの?

コレステロールの薬をいつまで飲むかは、人それぞれの背景によって異なります。生活習慣を変えても下がらなかった人は、飲み続ける必要があります。薬でしか下げられないと医師が判断したからです。

コレステロールの薬は一生飲み続けるの?

コレステロールの薬を一生飲み続ける必要があるかどうかは、人によります。コレステロールの値が下がった場合、飲まなくて良くなる人がいるからです。飲む薬の量が減る人もいます。

生活習慣を変えると中性脂肪は比較的下がりやすいです。しかしLDLコレステロールは下がりにくいため、時間がかかります。食事や運動だけで下がらないと医師が判断した場合、健康リスクを招かないように薬をすすめます。薬を飲まないと健康リスクを招く可能性が高い理由からです。

コレステロールの高い原因が遺伝性要因の人は、食事や運動だけで下げるのは難しいため、薬が必要となる人が多いです。

「薬は一生飲まないといけないのか」と不安な人はかかりつけ医に相談してみましょう。適切なアドバイスをもらいながら、薬と生活習慣の見直しを並行して進めるのが大切です。

薬は必ず医師の判断で止めましょう。自己判断で止めるのは危険だからです。

コレステロールの薬を止めたらどうなるの?

コレステロールの薬を止めると、コレステロール値がまた上がっていきます。健康リスクにならないように医師がすすめた薬だからです。

薬を止めると健康リスクにつながる可能性があるため、自己判断で止めないようにしましょう。心配なことがある場合は、医師に相談してみましょう。
» 日本経済新聞(外部サイト)

コレステロールの薬は一日おきに飲んでもいい?

コレステロールの薬を一日おきに飲んでもいいかは、医師の判断によります。定期的な経過観察や薬の種類をもとに医師の診断が必要だからです。

コレステロールの薬は、一日おきの飲み方ができる薬もあります。ただし一日おきにすると薬の管理が複雑になるため、飲み忘れやすくなります。飲み忘れが続くと一日おきにした意味はありません。

検査値が良くなったからと、自己判断で一日おきするのはやめましょう。検査値が良くなったのは一時的だからです。かかりつけ医と相談しながら慎重にコントロールを続けることが大切です。

薬は毎日同じ時間帯に飲むと、体への負担が軽減されるといわれています。体に優しい薬の飲み方をしましょう。

LDL(悪玉)コレステロールは何カ月で下がる?

LDL(悪玉)コレステロールが何カ月で下がるかは、体質などによって異なります。薬と食事、運動を並行すると、数カ月で下がり始める人もいます。LDLコレステロールは下がりにくいため、継続的に医師の指導を受けることが大切です。

LDLコレステロールや中性脂肪の高い原因が偏った食事の場合は、食事を見直すと下がりやすいです。早い人は1~2カ月程度で変化があります。ただし体質や遺伝的要因が大きい人は、変化のない場合があります。

コレステロールの薬を飲み続けると体重は増える?痩せる?

コレステロールの薬を飲み続けても、体重は増えたり痩せたりしません。コレステロールの薬には体重をコントロールする作用はないからです。体重は食事量や運動量によって変動しやすいです。

生活習慣を変えていないのに体重が増えている人(減っている人)は、医師に相談するのをおすすめします。他の原因が潜んでいる場合もあるからです。

コレステロールの薬を飲み続けると筋肉痛になる?

コレステロールの薬を飲み続けた場合、筋肉痛になる可能性は低いといわれています。筋肉痛になるのは、薬が体質に合わなかった場合に起こるからです。

ただし運動など行なっていないのに筋肉痛がでるようであれば、かかりつけ医に相談しましょう。筋肉痛の原因がわかるからです。

LDLコレステロールが高くなる(下がらない)原因

LDLコレステロールが高くなる(下がらない)原因

LDLコレステロールが高くなる(下がらない)原因は、以下のとおりです。

  • 肥満体質
  • 食事のとり過ぎ
  • 体質・遺伝の影響
  • 女性ホルモンの乱れ

肥満体質

肥満体質はLDLコレステロールが高くなる(下がらない)原因です。肥満になると体内に中性脂肪が増えるため、脂質代謝の健康リスクを招きやすくなるからです。

中性脂肪が増えるとHDLコレステロールが減ります。HDLコレステロールは体中の細胞からLDLコレステロールを回収して肝臓に戻す役割。LDLコレステロールを回収できないと、LDLコレステロールは増えてしまいます

中性脂肪が増えすぎると腸のまわりなどに脂肪が蓄積。内臓型肥満を招きます。内臓型肥満の人は中性脂肪が高くなる傾向です。

肥満の人は体重管理をしましょう。体重が減ると、LDLコレステロールも下がりやすいからです。以下のBMIを利用すると肥満度を把握できます。
» 忍野村(外部サイト)

BMIとは
BMIとは、Body Mass Indexの略で世界共通の肥満度の指標。身長と体重から計算されます
BMIの計算方法
BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
» 厚生労働省(外部サイト)
BMIの標準値は「22」
BMIの標準値の「22」は、疫学調査から導き出された数字。「22」に近いほど病気になる確率が低いとされています。目安で考えましょう。
» e-ヘルスネット(外部サイト)

LDLコレステロールを下げたい人は、医師と相談しながら体重管理するのをおすすめします。体重を減らしたほうがいい人と減らさなくてもいい人がいるからです。適切な体重のコントロールが大切です。
» なぜ上がる?】コレステロール値が高い原因

食事のとり過ぎ

食事のとり過ぎはLDLコレステロールが高くなる(下がらない)原因です。食事でエネルギーをとり過ぎると、コレステロールが高くなると報告されているからです。中性脂肪も高くなります
» 農林水産省(外部サイト)

LDLコレステロールが高い人は、飽和脂肪酸の多い食品に偏った食べ方をしている傾向です。飽和脂肪酸の多い食品は、動物性脂肪(肉やバター、乳製品など)に多く含まれています。日本人は飽和脂肪酸を多く摂取しているデータがあるため、飽和脂肪酸の摂り方に注意が必要です。
» 食品安全委員会(外部サイト)
» 飽和脂肪酸を減らすを見る

体質・遺伝の影響

体質や遺伝もLDLコレステロールが高くなる(下がらない)原因です。遺伝的要素の影響でLDLコレステロール値が高くなりやすいからです。生活習慣や年齢に関係なく高くなるのが特徴。LDLコレステロールが高い体質の家族がいる場合は、注意が必要です。
» 国立循環器病研究センター(外部サイト)

女性ホルモンの乱れ

女性ホルモンの乱れはコレステロールが高くなる(下がらない)原因です。ホルモンはLDLコレステロールのバランスを保つ働きがあります。女性ホルモンが乱れるとバランスが崩れるため、LDLコレステロールが高くなるからです。
» 大塚製薬(外部サイト)

女性は更年期になると女性ホルモンが減少するため、太りやすくなります。内臓型肥満になると中性脂肪が増えるため、LDLコレステロールが高くなりやすいです。

女性は生活習慣の乱れがない場合でもLDLコレステロールが高くなりやすいため、薬が必要な方もいます。
» 全国健康保険協会(外部サイト)

コレステロールの基礎知識

コレステロールの基礎知識

コレステロールは脂質の一種です。脳や神経、肝臓など体に広く存在しています。コレステロールはエネルギー源にはなりません。体内での主な働きは以下のとおりです。

  • 細胞膜を作る材料になる
  • ホルモンの材料になる
  • 胆汁酸の材料になる
  • ビタミンDの材料になる

コレステロールは体には重要な成分のため、毎日一定量が必要です。食事に頼らなくても良いように、体内にはコレステロールを合成する機能が備わっています(※1)。コレステロールの約8割は肝臓で作られます。食事から吸収されて作られるのは約2割です。
» e-ヘルスネット(外部サイト)

コレステロールは脂質(アブラ)のため、主成分が水分の血液中には溶け込めません。溶けやすいたんぱく質などと結合し、リポタンパク質として血液中に溶け込み全身に運ばれます。
» 全国健康保険協会(外部サイト)

※1 参考図書:上西一弘.栄養素の通になる 第5版.女子栄養大学出版部,2022,p.48-50.

コレステロールは2種類

コレステロールは2種類あります。以下のとおりです。リポたんぱく質の種類で呼び分けられています

  • LDLコレステロール(低比重リポタンパク質)
  • HDLコレステロール(高比重リポタンパク質)

LDLコレステロール

LDLコレステロールは、Low Density Lipoprotein(低比重リポタンパク質)のこと。主に肝臓の中のコレステロールを全身に運ぶ役割です。

ただし血液中のLDLコレステロールが増えすぎると、血管の壁に入り込んでたまります。血管壁に蓄積されると血液の通り道が細くなり健康リスクの引き金になるため、注意が必要です。悪玉コレステロールとも呼ばれています。
» e-ヘルスネット(外部サイト)

HDLコレステロール

HDLコレステロールは、High Density Lipoprotein(高比重リポタンパク質)のことです。各細胞にたまったコレステロールを肝臓に戻す役割があります。コレステロールの回収役です。
» 全国健康保険協会(外部サイト)

コレステロールは悪いイメージですが、体には必要不可欠な成分。ただし2つのバランス(LDLコレステロールとHDLコレステロール)が崩れると、健康リスクを招くため注意が必要です。コレステロールは多くても少なくても寿命に影響すると報告されています
» e-ヘルスネット(外部サイト)

コレステロールの基準値は複数ある

コレステロールの基準値は複数あります。以下のとおりです。コレステロールの基準値は目安で考えましょう

脂質代謝の健康リスクの判断で使われる基準は、以下のとおりです。

対策が必要(mg/dL)境界域、複数の要因が重なった場合は対策が必要(mg/dL)
LDLコレステロール140以上139~120
HDLコレステロール40未満
中性脂肪(TG、トリグリセライド)150以上(空腹時採血)
中性脂肪(TG、トリグリセライド)175以上(随時採血)
Non-HDLコレステロール170以上169~150

» e-ヘルスネット(外部サイト)

参考資料 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」を参考に作成

人間ドック学会の基準値は、以下のとおりです。健康診断の結果の判定にも使われています

異常(mg/dL)要注意(mg/dL)基準範囲(mg/dL)異常(mg/dL)
LDLコレステロール180以上179~120119~6059以下
HDLコレステロール34以下35~3940以上
中性脂肪(TG、トリグリセライド)500以上499~150149~3029以下
Non-HDLコレステロール210以上209~150149~9089以下

» 人間ドック学会(外部サイト)

コレステロールは中性脂肪(トリグリセライド)と関係が深い

コレステロールは中性脂肪(トリグリセライド)と関係が深いです。中性脂肪が増えすぎるとHDLコレステロールが減るため、LDLコレステロールが増えてしまうからです。
» 全国健康保険協会(外部サイト)
» 科研製薬(外部サイト)

中性脂肪(トリグリセライド)とは

中性脂肪(トリグリセライド)は、体を動かすときに必要なエネルギー源です。中性脂肪の原料は脂肪酸。肉や魚、食用油など食品中の脂質が体内に取り込まれて中性脂肪になります。
» e-ヘルスネット(外部サイト)

余った中性脂肪は皮下や内臓の周りに体脂肪として蓄積。必要に応じて分解されてエネルギー源として使われます。
» 全国健康保険協会(外部サイト)

コレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)は、どちらも脂質の一種。しかし体内での働きはまったく違います。LDLコレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)の共通点は、過剰になると脂質の代謝の健康リスクにつながること。注意が必要です。

コレステロールを下げる必要がある人

コレステロールを下げる必要がある人

コレステロールを下げる必要がある人は、以下のとおりです。一つでも当てはまる人は、生活習慣やケアの見直しを始めましょう(※2)。

  • LDLコレステロール値が140mg/dl以上の人
  • 中性脂肪が高い人・肥満の人
  • 動物性の食品(肉や乳製品など)を多く摂っている人
  • 更年期の女性の人

※2 参考図書:増田大作.栄養と料理 2022年8月号.女子栄養大学出版部,2022,p.10.

LDLコレステロール値が140mg/dl以上の人

コレステロールを下げる必要がある人は、LDLコレステロール値が140mg/dl以上の人です。140mg/dlは、脂質の代謝の健康リスクを招きやすくなる境界線の値だからです。自覚症状はないため、そのままにしている人が多い傾向。何もしていない人は注意が必要です。LDLコレステロール値が140mg/dl以上の人は、かかりつけ医に相談してみましょう。
» どのくらいで薬を飲むの?を見る

中性脂肪が高い人・肥満の人

コレステロールを下げる必要がある人は、中性脂肪が高い人・肥満の人です。中性脂肪が増えるとHDLコレステロールが減るため、LDLコレステロールが増えてしまうからです。中性脂肪の増える主な原因は食べ過ぎ。中性脂肪が高い人・肥満の人は、食事の量を見直しましょう
» 食事のとり過ぎを見る
» 肥満の原因を見る

動物性の食品(肉や乳製品など)を多く摂っている人

コレステロールを下げる必要がある人は、動物性の食品(肉や乳製品など)を多く摂っている人です。動物性の食品は飽和脂肪酸が多いため、LDLコレステロールを増やす原因だからです。動物性の食品(肉や乳製品など)を多く摂っている人は、食事の油(脂)の質を見直しましょう
» 飽和脂肪酸を減らすを見る

更年期の女性の人

コレステロールを下げる必要がある人は、更年期の女性の人です。更年期の女性はコレステロールが高くなりやすいからです。太っていなくても高くなる人がいます。LDLコレステロールが高い更年期の女性は、かかりつけ医に相談してみましょう。
» 女性ホルモンの乱れを見る

コレステロールを下げるには薬の利用も検討しよう

コレステロールを下げるには薬の利用も検討しよう

薬の服用以外にもコレステロールを下げる方法はあります。薬は最も効率よくコレステロールを下げられる方法です。

しかし、飲むのを止めるとコレステロールの値が元に戻ってしまうため、自己判断では止められません。コレステロールを下げる望ましい方法は、食生活の改善や運動習慣を身につけることです。

健康食品(サプリメント)を並行して利用する方法も一つです。ただし、サプリメントはあくまでも栄養補給が目的のため、摂取するだけでコレステロールは下がりません。

食生活の改善や運動習慣を身につけることを基本として、サプリメントをサポートとして活用するのがおすすめです。

コレステロール値を上げない調理方法

コレステロール値を上げない調理方法

コレステロール値を上げない調理方法を紹介します。調理の際は、以下を意識してください。

  • 食材を調理するなら茹でる・焼く・蒸す
  • コレステロール値を上げにくい油を使用する
  • 肉類は脂質をカットする
  • 魚類は刺身・ホイル焼きで油を落とさない

食材を調理するなら茹でる・焼く・蒸す

食材は、以下の調理方法で脂質の摂取量を抑えられます。

  • 茹でる
  • 焼く
  • 蒸す

「茹でる・焼く・蒸す」であれば、調理の際に油を使用せず、食材の余分な脂質を落としやすいです。シンプルな調理方法を選ぶことで、美味しさを維持しながら健康的な食事を楽しめます。

コレステロール値を上げにくい油を使用する

料理をする際の油選びもコレステロール値に影響します。コレステロール値を上げにくい油を選ぶことが重要です。調理をする際は、以下の油を使用するのがおすすめです。

脂肪酸の分類特徴調理方法
えごま油n-3系脂肪酸熱に弱いため加熱調理しない、クセがない、α-リノレン酸が豊富ドレッシングや料理にプラスするのがおすすめ
あまに油n-3系脂肪酸熱や光に弱く酸化しやすい、α-リノレン酸が豊富、人によって苦味を感じるドレッシングや料理にプラスするのがおすすめ
ごま油n-6系脂肪酸香ばしい風味、酸化しにくい、α-リノレン酸・オレイン酸が豊富ドレッシング・和えもののアクセントや煮物・炒め物の香りづけにおすすめ
グレープシードオイルn-6系脂肪酸香りや味がない、ビタミンE・ポリフェノール・α-リノレン酸が豊富、酸化しやすいドレッシングにおすすめ
なたね油(キャノーラオイル)n-9系脂肪酸味や香りにクセがない、酸化しにくい、オレイン酸が豊富炒め物・揚げ物・ドレッシングなどどんな料理にも合わせやすい
オリーブオイルn-9系脂肪酸商品によって香りにクセがある、酸化しにくい、オレイン酸・ポリフェノールが豊富ドレッシング・加熱調理におすすめ

» スギ薬局(外部サイト)

ただし、身体に良い油であっても摂りすぎには注意が必要です。脂質はカロリーが高いため、過剰摂取は体重増加の原因となります。身体にいい油は、少量を継続的に摂取することが大切です。

肉類は脂質をカットする

肉を調理する際には、余分な脂質をカットすることが大切です。肉類の脂質は、コレステロール値を上げる原因になることがあります。

調理する際は、豚肉や牛肉の脂身部分をカットしたり、鶏肉の皮を取り除いたりして脂質を抑えましょう。外食の際は、脂身の少ないメニューを選ぶことが大切です。

魚類は刺身・ホイル焼きで油を落とさない

魚類の油は、n-3系脂肪酸(DHA、EPAなど)を多く含むため、なるべくそのまま摂取することが望ましいです。
» 食生活を改善する

刺身やホイル焼きなど、油を落とさない調理法を選ぶことで、魚の栄養価を最大限に活かせます。調理の工夫して、健康と美味しさの両方を手に入れましょう。